RESEARCH ACTIVITY

研究活動 RESEARCH EQUIPMENT

研究に使用されている装置・機器の一部を抜粋してご紹介します。

臨床医学研究 - 生理機能解析装置

フィジオアクティブHV

高電圧の電流を瞬時に流し電気刺激を行うことで、痛みを感じず、疼痛の治療や麻痺、筋力低下した筋肉を治療する機器です。運動や動作に対して各筋肉がどのような作用を有しているかを調べるために動作解析装置とともに利用します。また、スポーツ現場などでの治療にも使われる物理療法機器です。

近赤外線組織酸素モニター(NIRO)

3つの異なる近赤外線光を利用して、生体組織内のヘモグロビン量と酸素濃度の変化を捉えることができます。この機器では従来の測定方法であるMBL法に加え、皮膚血流の影響を受けにくい測定方法であるSRS法による測定も可能なことが特徴です。体を傷つけずに脳組織や筋組織などの組織酸素の状態をリアルタイムに計測することで、姿勢変換や運動による影響を知ることができ、集中治療における早期リハビリテーションに応用することができます。

血圧脈波検査装置一式

手と足の血圧の比較や脈波の伝わり方を調べる機器です。動脈硬化や血管の詰まりを測定し、数値化することができます。この検査を行うことにより動脈硬化の程度や下肢血管障害を検出することができます。

脳波計一式

頭に電極をつけて脳から出る微弱な電気信号を記録することにより、大脳が活動している様子を「波」として記録する装置です。脳の神経的な情報がわかるため「てんかん」や「意識障害」などの原因究明や治療効果の判定に用いられます。

誘発電位検査装置一式

外部からの物理的な刺激(視覚刺激・聴覚・触覚刺激など)によって、引き起こされた神経の電気信号を波形にあらわす装置です。神経器官の傷害の程度と治療効果の判定に用いられます。

診断情報システム

大病院でも導入されている診断情報システムです。心電計・超音波診断装置・呼吸機能検査装置など、各種の医用電子機器と接続し、検査の予約から検査結果の蓄積、データの二次利用などを支援するシステムです。

臨床医学・スポーツ科学研究

生体ガス分析用質量分析装置

ごく微量なサンプルから、大気中の元素の質量を精密に計測することができます。「自転車エルゴメーター(エアロバイク)」や「トレッドミル(ランニングマシン)」と組み合わせ、運動時に採取した呼気ガスを調べることで、身体のエネルギー代謝量(酸素の消費量)がわかります。運動選手のトレーニング効果を検証することもできます。

超音波診断装置

超音波(人が聞き取ることができない音)を用いて、身体の表面から心臓や各内臓器の大きさ、動き、血流速度をリアルタイムで確認できる検査装置です。生体に対して無害なため、臨床の現場では画像診断の代表的検査法として、色々な疾患の診断に用いられています。本学では、トレーニング前後の心臓や血管の大きさの比較・検証のほか、運動中や生体に刺激を与えた際に、血流速度がどのように変化するかを調べるために利用しています。

三次元動作解析装置

人体や機械などの動きを三次元空間でとらえ、動きの速さや加速度がどのように変化していくかを記録・計測できる装置です。運動する人や機械に特殊なマーカーを取り付け、複数の赤外線カメラでとらえたマーカーの位置情報を組み合わせることで、マーカーの位置・動きを三次元であらわすことができます。筋電計、床反力計と組み合わせることでより詳しい動きがわかり、病気やけがによる異常な動作を改善する上で、参考にすることができます。

筋力測定装置

腕や脚の関節ごとの筋力を運動速度別に検出し、速い速度での筋力は強いが遅い速度ではあまり力が出ない、といった速度別の筋力低下を測定したり、左右差などを比較したりすることで、治療効果の判定などを行うことができます。また、運動療法として、筋肉に対し速度別に負荷をかけることにより、その人に合った効果的な運動方法を選択することができます。

筋電計

筋肉から発生する電気信号を検出し、どの筋肉がいつ、どれだけ活動しているかを分析する装置です。筋電図の波形から、そのとき発揮されている筋力や、筋肉の疲労度を推定することができます。その波形をリアルタイムで確認しながらトレーニングを行うバイオフィードバック療法にも使用されます。

床反力計

歩行や走行時に、足から床にかかる力を測定する装置です。歩行・走行・ジャンプなどの運動時に、床面に対してどのような力をどんなタイミングでかけているかを測定することが可能です。スポーツ選手が走る際の癖や、症状としての歩き方の癖・異常などが分かるため、スポーツや医療の現場で広く利用されています。

下半身陰圧負荷装置

下半身をカプセルに入れて密閉し、この中を減圧して下肢に血液をためることで、横になったまま起立時の全身の血流分布を再現できる装置です。「経頭蓋ドップラー血流計」を頭部に装着することで、血流分布の急激な変化による脳の血流速度の変化を見ることができます。寝たきりの状態が、脳の循環調節機能にどのような影響を及ぼすかを調べることも可能です。

水中トレッドミル

水中で物体が受ける圧力、浮力、水の粘性、水温などの影響を利用し、水中を歩行する運動療法が行える装置です。水中歩行により、筋肉や関節が動く範囲を拡大したり、持久性を向上させたりすることが可能です。術後の患者さんや、麻痺のある方に対する水中での運動療法の効果を検証することもできます。

トノメトリ血圧計(TBP)

皮膚の表面から、手首で最も脈拍を感じる血管である橈骨(とうこつ)動脈に圧力センサーを押し当て、血管の内圧値(内側から反発してくる力)によって血圧を測定する装置です。皮膚や血管を傷つけることなく、脈拍一拍ごとの血圧を連続して測定できるのが特徴です。血流の量や速度の急激な変化をとらえられるため、運動の開始直後や、経穴(ツボ)刺激直後、薬物投与直後などの、一瞬の血圧変化を明らかにすることができます。

経皮血中ガス分圧モニタ

指先や胸部などの皮膚にセンサーを取り付けるだけで、動脈を流れる血液中の酸素がどの程度ヘモグロビンと結び付いているかを示す動脈血酸素飽和度や、血液に含まれる酸素や二酸化炭素の量を測定する装置です。血管が細く、針を刺すのが難しい新生児でも皮膚の上から測定できるため、新生児未熟児の呼吸管理などにも使われます。

加速度脈波計

指先にセンサーを装着した状態で、指先にある血管の血液量の変化を波形でとらえ、分析することで、呼吸器障害の可能性や、血液循環の状態が分かります。波形の特徴から、血管のしなやかさを基に示される「血管年齢」を測定することも可能です。さらに、交感神経や副交感神経のはたらきを知ることもできます。

近赤外線分光装置(NIRS systems)

赤外光吸収の違いを利用して、酸素と結合したヘモグロビン、結合していないヘモグロビンの量的変化をそれぞれ測定できます。末梢にある筋肉の循環・代謝の状態を、皮膚や血管を傷つけることなく調べることが可能です。特定の筋肉が消費する酸素量や体の局所を流れる血液が時間とともにどう変化するか、運動時や運動後に筋肉全体が酸素をどの程度取り込めているかをリアルタイムで把握でき、特定の筋肉の酸素利用能(酸素を利用してエネルギーを生み出せる能力)がわかります。

肺機能検査装置(スパイロメーター)

呼吸機能を計測する機器です。肺活量や息を吐き出す速さ、一定時間に換気できる空気の量を測ることで、早期発見が難しいといわれる呼吸器の病気を見つけることができます。肺機能の老化を知る目安となる「肺年齢」の測定にも用いられます。

臨床医学研究 - 医療機器

心電計 一式

心臓が拍動するときに伴う心筋細胞の電気的な活動の様子を曲線でグラフ化し、記録・表示する装置です。得られた心電図は不整脈や心筋障害などの「心臓疾患」の診断と治療に欠かせないものです。

人工心肺装置

人工心肺装置とは人工的に心臓と肺の機能を代行する装置であり、心臓血管外科手術に欠かせない生命維持管理装置です。人工心肺装置で患者さんの血液循環を代償している間に、自身の心肺循環を停止させ手術中、各臓器の血流を維持すると同時に血液のガス交換を行う装置です。

人工呼吸器

低酸素血症、高二酸化炭素血症、呼吸仕事量の増加などで自発呼吸が難しくなった際、代わりに呼吸を行う器械が「人工呼吸器」です。完全に自発呼吸がなくなった場合や弱い自発呼吸がある場合でも、患者の呼吸に合わせて換気を行います。また、患者の呼吸の圧や量などをモニタリングして、自動でモードを変更する機能が付属されています。

基礎医学研究

生体信号記録システム

マウスなどの小動物に人為的な刺激を加えた際の、神経細胞(ニューロン)の応答を記録するための装置です。ニューロンは生体内で複雑なネットワークを構築して情報伝達を行っており、刺激を受けると電気を発して他の細胞に情報を伝えます。この装置は、ニューロンが発する電気を記録することにより、ニューロンの反応を明らかにするものです。
※写真(左)は、ニューロンから受信した電気を解析する機器、写真(右)は小動物をのせる作業台。

小動物用呼気ガス分析システム

マウスやラットなどの小動物で、自律神経の働きによる循環機能(血圧・心拍数など)の変化や、酸素が体内に取り込まれる呼吸代謝反応を解析するシステムです。一つの心拍、一つの呼吸ごとにデータをとることが可能で、運動トレーニングで循環機能や呼吸代謝機能がどの程度向上するかを検証したり、心筋梗塞など様々な疾患の症状を再現したモデル動物と健康な動物のデータを比較して、症状の発症メカニズムの解明に役立てたりすることができます。

培養細胞実験システム

培養細胞を用いた研究では、細胞を温度・酸素濃度・二酸化炭素濃度等の条件が一定に保てる「CO2インキュベータ」で培養し、培養細胞を用いた様々な実験を「クリーンベンチ」の中で行います。クリーンベンチは、殺菌灯がついていたりクリーンルームのように気圧が外気圧より高く保たれていたりすることで、培養細胞が細菌などに汚染されないよう工夫されています。

蛍光顕微鏡

抗原抗体法と呼ばれる特殊な方法を使い、細胞内の物質を蛍光で標識することで、その物質が細胞のどこにどれだけ存在するかを観察する装置です。通常の顕微鏡では見えにくい、細胞内の微量な物質も容易に識別することができるほか、色の違う蛍光で標識すれば、同時に複数の物質を可視化することもできます。本学では、細胞生物学や神経解剖学の実習や研究で利用しています。

リアルタイムPCR

この機器により、サンプルから抽出した微量のDNAを増幅させ、特定のDNAの量を検出することができます。これにより、本来は目に見えない、あるいは検出できない量のDNAを分析することが可能となります。

クリオスタット

組織切片を作成する機器です。5ミクロンという薄さで凍結組織をスライスすることができ、染色することで細胞などの様子を細部まで鮮明に観察することができます。

分光度計

抽出した様々なサンプル中のDNAやタンパク質などの濃度を測定することができます。分光度計では、光が物質を通過する際に吸収・散乱によって弱められる度合いを示す「吸光度」が測定でき、それをもとにサンプル中の物質濃度が分かります。

吸光マイクロプレートリーダー

96ウェル(穴)のマイクロプレートに入ったサンプルを吸光度測定することができます。わずかな容量かつ多数のサンプルを同時に測定できるため、効率よく測定することができます。タンパク質や核酸の定量からELISA法など多様な生化学アッセイの検出に用いられています。

PCR装置

サーマルサイクラーと呼ばれており、核酸(DNA・RNA)の増幅に必須の装置です。もっとも一般的なDNAの増幅法であるポリメラーゼ連鎖反応で「DNAの熱変性」「アニーリング」「伸長反応」をくり返すことで増幅されます。本装置はこの反応の温度と時間、サイクル数を個別に設定することができます。

超純水装置

多くの実験には純度の高い水が必要とされます。本装置では微粒子、有機物、無機イオンなどの不純物を取り除き、比抵抗が18MΩcmといった極めて高い純度の水が採水できます。

ゲルイメージャー

タンパク質や核酸を電気泳動した後にバンドを可視化し、画像を取得し解析する必要があります。本装置はウエスタンブロットの化学発光、EtBrが結合した核酸のUVによる励起光、CBB染色や銀染色による可視光に対応しています。

フリーラジカル解析装置 FREE carpe diem

光度計と遠心分離機を備えたラボ用分析装置です。従来、酸化ストレス測定に関する研究は、大がかりな施設・装置で行われてきましたが、本装置を用いることによって簡便に測定できます。人体の細胞や分子が活性酸素・フリーラジカルによる影響をどれだけ受けているかを表す酸化ストレス度と、酸化ストレスの消去能である抗酸化力を高い精度で測定できます。

超遠心機

超高速回転 (最大100,000rpm)にて大きな加速度を物質や生物にかけることができます。これによりタンパク質の濃縮や分離、またエクソソームなど生体内の微小粒子やウイルス粒子の分離が可能です。