大学院 保健医療学研究科 保健医療学専攻(修士課程) 履修指導・過去の実績 COURSE INSTRUCTION AND EMPLOYMENT RECORD
履修指導
学生一人ひとりの医療資格と将来のビジョンを把握した上で、研究指導教員が履修指導を担当、副研究指導教員が補助します。 学生とともに適切なキャリアパスを想定し、それに沿った授業科目の履修指導を行います。
修了後の進路
修了生の主な進路先
- 大阪市立大学大学院 博士課程(進学)
- 和歌山県立医科大学大学院 博士課程(進学)
- 愛媛県立中央病院 漢方内科 鍼灸治療室 臨時職員
- 宝塚医療大学(教員)
- 森ノ宮医療大学大学院 博士後期課程(進学)
- 森ノ宮医療大学(教員)
- ロート製薬株式会社 スマートキャンプうめきた ホリスティックラボ
- 森ノ宮医療大学研究員
- 近畿大学病院
- 森ノ宮医療学園専門学校(教員)
- 大阪乳児院
院生からのMessage
「点」の知識が「線」になり、研究が深化。
将来は、研究成果を地域に還元したい。
『大学院とは何をする場所?』『メリット、デメリットは?』など、大学院進学の検討にあたっては、気になることが多いのではないでしょうか。私が大学院進学を決意した理由は、「大学院という響きに惹かれたこと」、「研究に興味があったこと」。そして、「憧れの教授から(学びを深める)誘いがあったこと」です。
現在は、「作業の視点で捉えた買い物が主観的健康感に及ぼす影響」について研究を進めています。自分自身の成長として、色々な職種の院生の仲間と切磋琢磨できる環境だからこそ、今まで苦手意識があったことにも興味をもって質問したり、調べたり、本や論文を読むようになりました。そうすることで、今まで「点」でしかなかった知識が結びついて「線」になり、より臨床・研究が楽しくなりました。
大学院生としての今後の目標は修士号取得ですが、それは通過点。その先には、研究成果を地域の人に還元していきたいという想いがあります。研究は、「何か興味あるけど」と思った時が始まりです。私は、「迷ったら行動」をポリシーに積極的に行動してきました。働くことと研究を両立するためには、スケジューリングの工夫など大変さを伴いますが、その分リターンも大きいということを、大学院への進学を検討されている方に伝えたいと思います。
※院生の所属、掲載内容は2019年取材時のものです。
渡邊 潤さん
Jun Watanabe
保健医療学専攻 修士課程
〈勤務先〉
社会福祉法人 和貴会 介護老人保健施設
スローライフ八尾
視野や考え方を広げるチャンス。
臨床での疑問を解消し、さらに深みへ。
私は臨床において、呼吸・循環器疾患のリハビリテーションに数多く関わっています。そのなかで、しっかりと根拠に基づいて治療できているのか疑問を感じるようになっていました。以前から、呼吸循環領域の研究に興味を持ち、学びを深めたいと考えていたこともあり、母校でもある森ノ宮医療大学の大学院へ進学を決意。現在は「ネーザルハイフロー併用下での運動が骨格筋組織酸素動態に与える影響」に関して研究をしています。
近年、ネーザルハイフローという呼吸管理が普及しており、運動療法場面でも併用されています。併用により効果があるとの報告がありますが、骨格筋組織酸素変化に対しての効果は明確になっていません。本研究ではその点に関して検討しています。研究を行う中で、論文は多数読みます。大学院でさまざまなことを学び、論文の読み方も考え直すようになりました。そのことで、1度読んだ論文からも新たな発見ができ研究や臨床にも活かせています。働きながら大学院に通っており、多忙ではありますが、臨床での疑問を整理できる良い時間です。
大学院では自らの考えを述べることがこれまでよりも増え、研究や臨床に対する視野を広げるチャンスでもあると感じています。今後は博士課程への進学も視野に入れ、より一層深い研究活動に励みたいと考えています。
※院生の所属、掲載内容は2019年取材時のものです。
嶋﨑 勇介さん
Yusuke Shimazaki
保健医療学専攻 修士課程
〈勤務先〉
JCHO星ヶ丘医療センター
修了生の主な研究実績
特別研究(修士論文)テーマ
- 頚髄損傷者の呼吸と嚥下の協調性に関する検討
- 通所リハビリテーション利用者における作業の視点で捉えた買い物と主観的健康感との関連性
- 慢性甲状腺疾患におけるShear wave elastographyの有用性
- 慢性心不全モデルラットの運動時換気決定機構の定量評価法開発に関する研究
- 組織間の滑走性評価方法の開発
- 妊娠期から産後1ヶ月の精神的健康度とレジリエンス、育児負担感の関連 -不妊治療を経て育児をする母親からの一考察-
- 鍼治療と肝炎感染の関連性に関する文献レビューにおける要約バイアスの影響
- 女性の腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋群エクササイズの検討
- 訪問リハビリテーションにおけるウェアラブルセンサーでの動作解析
- 精油の芳香刺激に対する生体反応の新しい定量評価法の開発と効果検証に関する研究
- 安定期COPD患者の身体活動に影響を及ぼす関連因子の検討
- 鍼灸研究所開設以前の代田文誌カルテのデータベース化および分析
- 更年期周辺期にある女性の生活習慣、生活習慣病と更年期症状との関連検討
- 肩こりに対する鍼治療の効果:システマティック・レビューおよびメタアナリシス
- 炎症筋肉組織への間欠的灸刺激による炎症機転を介した筋肉再生分子メカニズムの検討
- 各種sham鍼対照ランダム化比較試験における鍼の効果量の違い:メタアナリシスによる検討
- ネーザルハイフロー併用下での運動が骨格筋組織酸素化に与える影響
- 超音波診断装置によるばね靭帯機能の解析
- ストレスと舌所見との関連性-質問紙、心拍、唾液および舌写真による検討-
- 嚥下姿勢が嚥下機能に及ぼす影響について-呼吸と嚥下の協調からみた誤嚥リスク-
- 作業療法士による地域小学校支援に必要な知識と視点~保育所等訪問支援事業の経験者の語りの分析~
- 変形性膝関節症における膝蓋下脂肪体に対する低出力超音波パルス療法と運動療法との併用効果
- 慢性腰痛と片頭痛に対する鍼治療における臨床的経穴特異性:システマティック・レビュー及びメタアナリシス
- 伸縮性ひずみセンサを用いた足部動作解析手法の確立
- 電気刺激誘発性掻痒の及ぼす鍼刺激の影響
修了生からのMessage
頻繁に使いながらも評価方法や定義が
曖昧なワードと向き合い、定量化に挑む。
理学療法士が治療の際に「手」で触れ、感じている身体の組織がどのように動いているか。感覚だけでなく、内部を覗きたいという衝動に駆られました。さらに、臨床の現場において「大腿骨転子部骨折」症例を多く担当する中で「滑走性」が重要であると感じ、この現象を可視化したいという思いもありました。
本学大学院には、この臨床疑問の解決につながるご指導をいただける研究室があると知り、進学を決意。「組織間の滑走性評価方法の開発」をテーマとして研究に臨みました。理学療法の分野では頻繁に使用されるワードでありながらも、その評価方法や定義が曖昧な「滑走性」について、超音波画像診断装置や流体画像解析の手法を用いて定量化できたことが、この研究の成果になったと考えています。研究を通じて批判的に吟味し論理的に物事を捉えることや、研究結果を真摯に受け止め解釈することで視野が広がりました。
職場では管理職として後輩育成も担っていますが、その際にも大学院での研究で学んだ論理的思考は活かされています。現在は、さらに研究を進めるため本学大学院の博士後期課程に進学。日々臨床で疑問と向き合う方々にこそ、大学院での研究はおすすめです。充実した2年間、ぜひ共に研究しましょう。
河西 謙吾さん
Kengo Kawanishi
保健医療学専攻 修士課程(2018年度修了)
〈勤務先〉
社会医療法人 協和会 加納総合病院
大学時代の卒業研究を通して研究の面白さに魅了され、
大学院進学を決意。
森ノ宮医療大学鍼灸学科に在籍時、精力的に研究活動に取り組む教授のゼミに所属していました。卒業研究では、実験装置の自作や、新しい評価法の検討など、さまざまなことに挑戦しました。そのなかで研究の面白さに魅了され、大学院への進学を決意しました。修士課程での研究テーマは「精油の芳香刺激に対する生体反応の新しい定量評価法の開発と効果検証に関する研究」。アロマセラピーに用いる精油の効果についてはさまざまな基礎研究が行われていますが、同一方法論のもとで定量性のある系統立てた研究は行われていませんでした。この研究で、科学的なエビデンスの積み上げに必要な新しい評価法を開発し、精油の芳香刺激に対する生体反応を時系列で定量記述できるようになりました。そして研究のさらなる発展のために大阪市立大学大学院の博士後期課程を修了し、現在は日本学術振興会の特別研究員として理化学研究所 生命機能科学研究センターに所属して、研究活動に取り組んでいます。将来は、西洋医学および東洋医学の知識、研究で培った科学的思考をベースに、研究者として代替医療の分野に貢献したいと考えています。大学院は研究に充てられる時間が多く、多様なことに挑戦し、多くのことを吸収できるチャンスです。学位取得のためだけではなく、研究者としてのスキルを高めるためのトレーニング期間であることを忘れずに、日々の活動に取り組んでほしいです。
河合 英理子さん
Eriko Kawai
保健医療学専攻 修士課程(2016年度修了)
〈所属先〉
国立研究開発法人 理化学研究所
生命機能科学研究センター
サポート体制
研究指導
広い視野をもって統合的発想や問題解決能力を涵養することができるよう、研究指導教員と研究指導補助教員の2教員指導体制としています。研究指導教員は専門領域の研究指導を直接行い、研究指導補助教員はその補佐と学術的助言をします。
学習・研究の環境
大学院生が専門分野の研究を良好な環境下で円滑に行うことができるように、大学院生専用研究室に机、書棚、ロッカー、パソコンおよび学内LANを整備し、情報収集・処理が研究室でできる環境にしています。また、学園内の関連施設や出版物が活用できます。
健康管理
定期健康診断に加えて、附属クリニック、医務室、附属鍼灸臨床センター、カウンセリング室が心身の健康管理をサポートします。