INFORMATION

論文が掲載されました(看護学科 川添英利子講師)

2024年07月01日(月)森ノ宮医療大学
  

このたび、看護学部 看護学科 川添英利子講師の論文が「人間工学」に掲載されました。
 
 タイトル:食事前準備における口腔保湿対策による口腔湿潤度の比較-高齢者と若年者を被験者として―
 掲載誌:人間工学. 2024; 60(2):125-133.
 著者:川添英利子, 酒井英樹.
 
【研究内容の概要】
本研究は、嚥下障害の原因となる口腔乾燥を防ぐ目的で、高齢者施設などで食事前準備として実施させる口腔保湿対策である、口腔体操・歯磨き・水分摂取・保湿ジェル塗布に注目し、これらの対策の効果を比較しました。
被験者は高齢者15名(66~84歳)、若年者15名(21~22歳)であり、実験前と対策直後それぞれの口腔湿潤度を口腔水分計ムーカスで測定しました。
その結果、高齢者は若年者に比べて口腔湿潤度が低く、食事前に何らかの対策が必要であることが示唆されました。
ただし、対策前に口腔内が乾燥していれば、対策を適用することで改善が見られましたが、対策前に一定の湿潤度が保たれている場合は、対策をすることで返って湿潤度が低下し、逆効果となってしまうことが示唆されました。
 
【川添講師のコメント】
本研究において、高齢者の保湿対策には限界があり、口腔の保湿対策を行ったからといって、必ずしも口腔湿潤度が正常域に達するわけではないことが明らかとなりました。
また、口腔湿潤度にはボーダーラインが存在し、ボーダーライン以下(乾燥傾向)では口腔保湿対策により口腔湿潤度は増しますが、ボーダーライン以上(一定の湿潤度が保たれている)では逆に乾燥が助長する傾向がみられました。
逆効果が現れた理由については体内の水分量を一定に保つ働きである恒常性、および口腔保湿対策の特性が関係していることが考えられました。
今後も高齢者にとっての食事がより良いものとなるための研究に取り組んでいきたいと考えています。