本学教員がパリ2024オリンピックのトレーナーとして帯同!選手を側で支えた経験やエピソードについてのインタビュー記事を公開!
2024年09月11日(水)森ノ宮医療大学
今夏フランスで開催されたパリ2024オリンピック(以下、パリオリンピック)でスケートボード競技(パーク/ストリート種目)のトレーナーとして帯同した本学教員 髙﨑雷太講師(医療技術学部鍼灸学科)にインタビュー!活動内容やエピソード、今後の目標などについて語ってもらいました。
【パリオリンピックのスケジュールは?】
7月19日から8月10日までの約20日間トレーナーとして帯同しました。1競技2種目の担当だったので、最初の前半がストリート種目、後半がパーク種目でした。現地に到着後は事前合宿に3日間程度入り、時差、気候の順応を行います。事前合宿では練習以外に地元協力者や子どもたちとの触れ合いがありました。選手村へ入村した後は、競技が終わるまで選手に帯同し、終われば帰国するという流れでした。1種目終了後は、また新たな選手やコーチと合流し、事前合宿から活動を開始しました。
【パリオリンピックではどのような役割を担われましたか?】
スケートボード競技(パーク・ストリート)2種目のトレーナーとして、選手のコンディショニングとケアを行い、段階を踏みながら決勝にベストな状態をつくれるよう、選手をはじめ、監督・コーチ、外部トレーナーと相談しながらサポートを進めました。私は選手が滑る前後に身体の状態やケア箇所と、メンタル面の確認を心掛け、選手を含めそれぞれの意見を擦り合わせて活動を行ました。
【パリオリンピック期間中、大変だったことは?】
選手をケアするための時間と場所の確保です。大会会場から帰ってくると、だいたい午後6時をまわります。そこから、各選手のケアを開始しますが、選手村のケアブースの使用時間には制限があり、全員をケアするための時間と場所の確保に苦労しました。
【印象に残ったことは?】
「チーム医療」で選手をサポートできたことです。選手村の本部には医師や理学療法士、アスレティックトレーナーなどトップレベルのサポート陣がいます。選手のケアにあたる際、自分ではどうしても対応できない領域がでてきてしまいます。「ここまではできるけどここから先は厳しいな」、「持っている機器では対応できない」など。そんな時は他の医療職のサポートスタッフに相談し、連携をとりながら対応しました。そうやってコンビネーションを組み、互いの持っている知識や技術を掛け合わせて最良の治療を選手に提供し、メダル獲得に繋げる。これこそまさにチーム医療だなと実感する瞬間でした。「プレイヤーズセンタード」という考え方がありますが、監督やコーチ、サポート陣、保護者も含めた全員がチームとなって一選手のサポートにあたれたことが何よりも心強かったです。今回ご協力をいただいた方々には心から感謝しています。
【トレーナーとして意識していることは?】
選手の希望や自身のかかえる症状に対しては、こちらの意見を押し付けるのではなく、個人のパーソナリティーを尊重しいくつかの方法と手段を揃えた上で、選んでもらうことが大切だと思います。「こんな状態が考えられるけど、どうしたい?」と必ずヒアリングし、その上でケアの方法を考えいくつか提案します。
自分の考えが選手にとって一番いいとは限りません。より有効な方法を提供するために、時には他の医療職の先生方にも相談し判断します。選手にとって最も適切な方法を準備・提供できるかどうかが、トレーナーとして非常に重要だと考えています。
チームとしては、どの場面にパフォーマンスのピークを設定するか、そのプロセスを作ることが大切です。また、監督やコーチとコンディショニングやケアの内容を共有することも常に心掛けています。選手のプレー(ランとトリック)を想像したアプローチをしているからこそ、身体面・メンタル面ともにベストなサポートができると考えます。
【この経験を今後のキャリアにどう活かしていきたいですか?】
私は大学教員なので、この経験を活かし、臨床能力の向上とチーム医療の大切さについて学生に伝えたいと思います。また競技においては、4年後のオリンピックに向け、今回の代表選手や次世代選手の強化・育成に注力し、スケートボード2種目間の架け橋にもなれるよう活動を続けたいと思います。
【最後に】
私が今回の活動ができたのは、選手や選手の保護者からの支えと、監督・コーチ陣らの信頼関係があったからこそだと思っています。私は森ノ宮医療大学で修士の学位を取得する段階から、今回の活動領域を見据えて、努力と活動を積み重ねてきました。トップアスリートやトレーナーといわれる人たちは、5年10年とその先を考えた上で今を大切にしています。特に、それぞれの通過点の先で何をするのかが大切だと思います。臨床家やトレーナーを目指す学生たちには努力を惜しまず信念をもって自分の夢に向かってほしいです。
森ノ宮医療大学 医療技術学部鍼灸学科 髙﨑雷太講師
森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科卒業後、森ノ宮医療大学大学院保健医療学研究科保健医療学専攻(修士課程)を修了し、修士(保健医療学)を取得。2013年森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科助手、2016年森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科助教を経て、2017年より現職。
2023シーズン、ワールドスケートボードストリート世界選手権(日本 東京)帯同。ワールドスケートボードストリート世界選手権(UAE ドバイ)帯同。2024シーズン、オリンピック予選シリーズ:OQS(ベルギー ブダペスト)帯同。第33回オリンピック競技大会(フランス パリ)帯同。公益財団法人日本オリンピック委員会 強化スタッフ(医・科学スタッフ)・メディカルトレーナーを歴任。
髙﨑先生 インタビュー
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