MORINOMIYA Special content
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“チーム医療”とは、一人の患者さんに対してさまざまなスキルを持つ医療スタッフが連携し、協働しながら取り組むこと。それぞれのスタッフが相互に各分野の専門技能を理解し、結束することが重要です。本学では、医療系総合大学の環境を活かし、実際の症例をテーマにチームアプローチの方法を話し合う「ケースカンファレンス(症例検討会)」を行っています。学科を超えたチームで他者の意見を聞き、また自らの意思を明確に伝える力を身につけながら、より良いケアを検討していく過程を学びます。今回は、実際にケースカンファレンスに挑戦した学生の感想をご紹介!
理学療法士からの視点
理学療法学科 3年生
大野 優希さん
(大阪/東海大学付属大阪仰星高校出身)
他職種のケア内容を意識しながら、
患者さんをフィジカル面から支援。
理学療法士の立場から関節リウマチの進行を抑えるために、毎日関節を動かしてもらうことが重要だと考えました。そのために1日数回、痛くない範囲で指を1本ずつ曲げたり、片足ずつ足首を上げて下げるなどリウマチの運動療法を行ってもらうことを提案。その際は患者さんと接する機会が一番多い看護師に、リハビリの重要性を共有することを意識しました。他職種との話し合いでは相互協力する難しさを知るとともに、自らの専門性を連携の中で活かすとより良い医療を提供できることを学びました。
看護師からの視点
看護学科 3年生
金田 巴瑠可さん
(大阪/柴島高校出身)
各専門職ができることを深く知り、
それぞれの治療効果を
伝えることを意識。
看護師は患者さんのそばにいる時間が長いので、精神面を含めたケアが可能です。そのためリハビリや鍼灸の治療効果を患者さんに伝えて安心してもらい、前向きになってもらうことを考えました。患者さんの痛みを緩和する方法や装具の提案など、患者さんの日常生活を支える具体策は、看護師の知識だけではカバーできません。職種によってアプローチは異なりますが、患者さんを支えるという目標は同じだからこそ、他職種のことをより深く知り、お互いの専門性をケアに取り入れることが大切だと実感できました。
作業療法士からの視点
作業療法学科 3年生
古川 瑠季菜さん
(兵庫/山崎高校出身)
チームとして各職種の
強みを尊重しつつ、
環境を整えて日常生活を
支えることを提案。
作業療法士として患者さんの意向や日常生活を考え、環境を整えることに重点を置きました。手足の関節の痛みに考慮して、便座の高さを変えられるトイレを提案。また手指の痛みを減らす目的でゴムタイプのズボンの着用、関節への負担が少ないリウマチ専用の杖など福祉用具の使用も考えました。症例検討ではチーム内で意見が分かれたことも。しかしお互いの提案の根拠を伝え合いながらケア方針を固めていくことで、各専門職の強みを活かした提案を行えたと思います。
鍼灸師からの視点
鍼灸学科 3年生
石原 大輝さん
(愛知/名古屋経済大学高蔵高校出身)
鍼灸ならではの治療を
提案するとともに、
患者さんの信頼を得ることを重視。
関節リウマチに対する知識はありましたが、その痛みに苦しむ患者さんのケアについて各職種の役割を実践的に学ぶことができました。鍼灸師としては、手の指や関節に灸をすることで血行を促進することを提案。さらに、患者さんが便秘と不眠を訴えている点に注目し、薬を服用するのではなく、副作用が少ない鍼や灸を中心としたケアを考えました。治療内容に対する患者さんの理解も大切なので、まずは看護師に治療目的と効果を説明し、他職種と一緒に信頼関係を築くことを重視しました。
臨床検査技師からの視点
臨床検査学科 3年生
島ノ江 七海さん
(大阪/市岡高校出身)
治療の進行状態を
客観的に判断するために、
継続的な検査が役立つことを実感。
目標にした関節リウマチの痛みを緩和して、トイレなどの日常動作ができることを踏まえ、臨床検査技師の立場から他職種のサポートを担当。運動による身体の変化や、薬の服用による変化を検査によって評価しました。また、触診では判断が難しい場合に、超音波(エコー)検査で炎症の状態を把握することも提案。予後の回復状況や薬の副作用が起きていないかなど、他職種と症例検討を行ったことで、検査結果が患者さんの治療やケアに活かされることを、明確にイメージすることができました。