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知られざる 鍼灸の 世界を紹介

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  • 鍼灸師を知る

鍼灸を知る

問題がある患部や経穴(ツボ)に鍼や灸を用いて、刺激を与え、病気の治癒や予防をめざす鍼灸治療。人が本来持つ自然治癒力や免疫力を高めて治療から病気やケガの予防まで行います。

鍼灸を知るための 大事な3つのポイント

身体の特別なポイント“ツボ”って?

私たちの身体には361箇所のツボが存在すると言われています。東洋医学の専門用語では「経穴」と呼ばれており、刺激すると症状を緩和し、弱った機能を回復させます。ツボの大きさは一般的に500円玉ほど。その範囲で刺激をすれば、ある程度の効果が見込まれますが、人によって最も有効なポイントは異なります。

鍼灸治療の基本的な仕組み

  • 鍼や灸を用いてツボを刺激
  • 皮膚や筋肉などの組織に微小の傷をつける
  • 傷を修復するため細胞が活性化
  • 自然治癒力・免疫力を高める!

手のツボが肩に効く!?ツボとツボをつなぐ「経絡(けいらく)」

ツボには「経絡」と呼ばれる、それぞれの効果にあった一連の流れがあります。そのため、患部から離れたツボを刺激することで効果が得られることもあります。それぞれの疾患にあった経絡のツボを刺激して患部にアプローチします。

刺してもほとんど痛みがない鍼灸の“鍼”って?

ツボの刺激には鍼を刺します。「はりを刺す」と聞くと痛いイメージがあるかもしれませんが、鍼灸で用いる鍼の太さや先端の形は注射針とは異なり、刺しても痛みはほとんどありません。

【 鍼灸の鍼と注射の針の違い 】

太さ

注射針の太さは約0.7~0.9㎜。対して、鍼灸でよく使われる鍼は0.14~0.34㎜と注射針の約3分の1の太さ。刺したときに皮膚の抵抗が少なく、痛みもほとんどありません。

先端の形

皮膚や血管を破るために、先端がナイフのようにカットされている注射針に対して、鍼灸の鍼は皮膚や筋繊維の間をかき分けて入るように、先端が丸みを帯びています。

身体の内側から温める鍼灸の“灸”って?

鍼と同じくツボを刺激するのに用います。皮膚の上に艾(もぐさ)を置き、火をつけることで、熱を用いてツボを刺激します。艾(もぐさ)の原料にはヨモギの葉の裏にある繊毛が使われており、艾(もぐさ)の大きさや硬さによって熱さは変わります。近年ではせんねん灸などの普及で、自分でお灸ができる“セルフ灸”が流行っています。

今、話題沸騰中!お灸女子

一年中“冷え”に悩む女性も多いのではないでしょうか。身体を芯から温めて、さらにツボへの刺激効果でむくみや肩こりなどの改善も期待できる“お灸”が女性の間でブームとなっています。最近では、デザインがかわいいお灸やアロマ効果のあるお灸、火を使わないお灸なども登場!「お灸女子」という言葉も生まれて、注目を集めています。

鍼灸師を知る

鍼灸師とは問題がある患部や経穴(ツボ)に鍼や灸を用いて刺激を与え、病気の治癒や予防をめざす鍼灸治療。人が本来持つ自然治癒力や免疫力を高めて治療から病気やケガの予防まで行います。

仕事内容

問題がある患部や経穴(ツボ)に鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて、刺激を与え、病気の治癒や予防をめざす医療技術職です。人が本来持つ自然治癒力や免疫力を高めて治療するため副作用が少なく、赤ちゃんから高齢者、トップアスリートや妊婦さんまで幅広いニーズがあり、多くの場面で応用されています。その効果は、世界的にも注目されており、アメリカやヨーロッパの医療関係者からも注目されています。

資格

鍼灸師は、はり師・きゅう師の国家資格を有する東洋医学の専門家です。資格は「はり師」「きゅう師」で分かれており、高校卒業後に3年以上の鍼灸師養成施設(大学や専門学校)で学び、同時に取得するのが一般的。国家試験の合格率(全国平均)は、両資格とも例年70〜80%程度です。

鍼灸師の ココがスゴイ

最初から最後まで患者さんを診れる独立開業権のある医療職

多くの医療職は医師の指示のもと、各専門領域を活かして治療の一部を担います。一方、鍼灸師は自身の判断で初期治療から回復まで一人で患者さんに向き合うことができます。そのため、開業権が認められており、自分を信頼して治療に来てくれる患者さんの“かかりつけ”としての関係を築くことができます。

西洋医学では改善できない“未病”を治す

「検査結果に異常はないけどなぜか体調がすぐれない」そんなときはありませんか?東洋医学では、病気やケガが発症する一歩手前の状態を「未病」と言います。発症前に治療を行うことで病気やケガを未然に防ぐことができます。この特性を活かしてスポーツ分野でも選手のコンディショニング(筋肉の張りの改善、免疫力向上など)に鍼灸が用いられており、プロ野球やJリーグ、社会人の各種目のトレーナーとしても鍼灸師が活躍しています。また、高齢社会の今、健康寿命への関心の高まりとともに、病気を予防する「予防医学」への注目が集まっています。

“統合医療”の中心的療法として世界的に注目

日本だけではなく世界中で西洋医学の限界を乗り越えるために、東洋医学を組み合わせた「統合医療」が注目されています。例えば、薬を投与できない状況のがん患者さんに、鍼灸を用いて痛みや息切れなどの身体的な苦痛を軽減し、最期までQOL(生活の質)を考えた医療を提供することができます。欧米でも統合医療を実践する医療機関が増えており、鍼灸に寄せられる期待は大きなものとなっています。

病気やケガの部位だけでなく、患者さんという“人を診る医療”

西洋医学は、物理的かつ科学的な方法で悪い部分を視覚化し除去します。例えば、内臓に腫瘍ができれば、レントゲンで患部を確認し、腫瘍を除去します。一方、東洋医学は、全体のバランスから患部の治療を試みます。西洋医学と東洋医学では視点とアプローチ(治療方法)が違うため、得意な分野も異なります。腰痛の治療は東洋医学が得意とする分野で、まず全身の状態を観察し、時には腰とは関係ない部分の施術を行い、全身のバランスを整えていきます。