最新医療技術研究チーム Medical technology research and development laboratory
専門性の異なる研究者の融合により新しい技術や学問の展開をめざす
癌と循環器疾患という日本人の死亡原因の二大疾患に対し、専門性のまったく異なった研究者によって構成されています。
分子生物学や計算科学を利用し、新しい治療法の開発や病態の可視化にかかわる最新の医療技術開発をめざしています。特に癌の進展や浸潤に関わる機序の解明、コンピュータシミュレーションを利用した不整脈や血流解析の研究を行っています。
専門性の異なる研究者が融合することで、新しい技術や学問の展開が期待されます。
研究のポイント
本チームにおいては、以下の3点を重視しています。
- 研究者の自由な発想
- 研究者の協調
- 若手研究者の育成
既成概念にとらわれることなく、異なった専門における各研究者の自由な発想を活かした研究を実施することを心がけています。研究者同士の協調・対話に基づいて、互いの専門性を発揮できるよう、さらに新しい技術が生まれるような連携を目指しています。学外とも連携を強め、他では実施できない不整脈の可視化研究などは、その典型です。さらに、若手研究者の育成を意識し、研究の進め方から論文の作成、研究費の取得なども含めた、総合的な指導体制を目指しています。
プロジェクトのご紹介
01 多階層3次元心臓モデルを用いた不整脈誘発性・持続性の評価に関するインシリコ研究
突然死につながる持続性心房細動や心室細動など、重篤な不整脈に対する適切な診断や治療が求められています。これまで、遺伝子から臓器に至る多階層の3次元心臓モデルの構築や、コンピュータシミュレーション(インシリコ)による不整脈研究などを行ってきました。また、カテーテル電極による心内電位から、複雑な心房細動の動態をリアルタイムで可視化する先端技術開発にも関わってきました。これら従来の研究を進展させ、不整脈に対する計算科学的視点による評価指標を提案し、新たな治療戦略の構築を目標にしています。
プロジェクトメンバー
02 肺癌における蛋白質発現の解明
わが国の死亡原因の第一位は癌であり、男女合わせて見ると肺癌による死亡者数がもっとも多い(人口動態統計がん死亡データ2019年)。癌では正常と比較して様々な蛋白質の発現が異なっており、この違いを解明することで予防や新しい治療法の開発につながります。肺腺癌において、Sox2、Sox9という蛋白質の発現パターンに着目し、それらを解析する研究課題に取り組んでいます。
プロジェクトメンバー
主たる研究業績
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稲田慎. 大阪大学サイバーメディアセンター. HPSC News vol.05 心臓の興奮伝播シミュレーション.
http://www.hpc.cmc.osaka-u.ac.jp/hpsc-news/vol05/ - 稲田慎, 柴田仁太郎, 芦原貴司, 中沢一雄. 房室結節における心拍制御機構の解析-コンピュータシミュレーションによる検討-. 計測と制御. 2018; 57(8); 563-569.
- Shida S, Masuzawa T, Osa M. Dynamic motion analysis of impeller for the development of real-time flow rate estimations of a ventricular assist device. International Journal of Artificial Organs. 2022 Jan; 45(1): 52-59. doi: 10.1177/0391398820984485.
- Shibata N, Inada S, Nakazawa K, Tomii N, Yamazaki M, Seno H, Honjo H, Sakuma I. Mechanism of Electrical Defibrillation: Current States and Future Perspective. Advanced Biomedical Engineering. 2020; 9: 125-137. doi:10.14326/abe.9.125.
- Shibata N, Inada S, Nakazawa K, Ashihara T, Tomii N, Yamazaki M, Honjo H, Seno H, Sakuma I. Mechanism of Ventricular Fibrillation: Current Status and Problems. Advanced Biomedical Engineering. 2022; 11: 117-135. doi:10.14326/abe.11.117.