本気で医療者をめざすあなたへ 医療系学校選びのポイント

もう迷わない医療人への道

高校卒業後の進路選択は、進学や就職といった人生の大きな岐路になります。特に医療系の場合は将来の仕事と直結しているため、卒業後の進路が、これからの長い人生の中で大きな意味をもちます。安易な選択にならないよう、さまざまな要素を考えて、意思決定をしていきましょう!ここでは医療系の進学先を検討するための、多くのポイントを紹介しています。後悔しないために、自分に合った学校選びを考えてみましょう。

POINT 01

医療の仕事に就くためには、どのような資格が必要?

医療の仕事には、高度な専門知識・技術が求められるため、「国家資格」が必要となる場合がほとんどです。国家資格を得るには、国や地方自治体が指定した養成施設(大学・短大・専門学校など)を卒業しなければなりません。また、養成施設で得られるのは国家試験の“受験資格”です。「栄養士」のように卒業と同時に取得できる資格もありますが、国家試験に合格して取得するケースがほとんどです。つまり、「看護師」「理学療法士」などの養成施設を卒業するだけでは「国家試験受験資格」を持っているにすぎず、医療者にはなれないというわけです。

国家資格

国の法律で定められた資格。有資格者は、職業的な知識・技術が一定水準以上に達していることを、国によって認定されたことになります。
例:医師、薬剤師、看護師、助産師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師 など

民間資格

国の法律ではなく、企業や協会などの民間の任意団体が独自に認定する資格。医療情報技師、アスレティックトレーナーなどがあります。
例:細胞検査士、健康食品管理士、メディカル・クラーク、診療情報管理士 など

POINT 02

技術+理論的な考え方・広い知識を身につける大学?
実践技術中心に即戦力を養成する専門学校?

多くの医療資格は、高校卒業後に大学や専門学校などの養成施設に進学し、取得をめざします。
では大学と専門学校は何が違うのでしょうか?

修業年限

大学

4年で実践と同時に理論・研究、一般教養も学修

専門学校

3年で実践的な授業が中心
※一部4年制の専門学校もあります。

専門学校は即戦力となる人材を育成するため、3年間で実践的な学修を重視しています。最短で資格が取れるため学費は抑えられます。しかし、時間割がタイトになり、特に3年次の病院実習や国家試験対策はかなりハードになります。一方、大学は実践に加えて卒業研究などで理論的に考える力も身につけます。また、幅広い医療知識や一般教養(社会で生活していくための幅広い知識)など、4年間で幅広く学ぶことができます。

学生の年齢層

大学

同世代(18~22歳)が大半

専門学校

幅広い年齢層

専門学校は大卒や社会人の割合が大学よりも比較的高い傾向にあり、あらゆる年齢層と一緒に切磋琢磨して学ぶことができます。大学は高校卒業後に入学している学生が大半を占めており、クラブ・サークル活動なども活発に行われていますので、キャンパスライフを満喫することができるのも魅力です。

卒業後の称号

大学

学士

専門学校

専門士

医療分野では企業や研究所、大学などで研究者として働くという道も将来の選択肢に挙げられます。研究を深めていくには大学院への進学も視野に入れておく必要があります。大学を卒業すれば「学士」の称号が与えられ、大学院の受験資格が得られます。可能性を広げるために大学へ進学するのも1つの考え方かもしれません。(一部の専門学校でも大学院の受験資格が認められています。)

POINT 03

医療に特化した医療大学? 多様な分野を有する総合大学?

総合大学のメリット

医療大学のメリット

中でも多様な医療系の学科を保有している医療系総合大学では…

さまざまな医療資格をめざしている学生が1つのキャンパスに集結しているため、他学部・他学科と連携し「チーム医療」を学ぶことができます。さらに、自身がめざす専門分野以外に他の医療分野についても学ぶことができるので、医療について幅広く学ぶことができます。

POINT 04

附属の病院を有する大学? さまざまな医療機関と連携している大学?

医療系は在学中の実習先が就職先につながることが多いため、その大学がどのような病院と連携しているのかを見ておくことも重要です。また、実習期間中は体力的、精神的にもハードになるため、自宅や下宿先から通える範囲に実習先があるかどうかもポイントになります。
大学の中には附属病院を有するところもあります。これらの大学では、実習の多くが附属の病院で行われます。一方、附属病院を有していない大学は連携している病院・医療機関で実習を行うことになります。
その場合、「病院との深い関係が構築できているのか」をチェックしておくことも大切です。

附属病院を有する大学のメリット

附属病院を有しない大学のメリット

POINT 05

国家試験・就職の実績や支援体制はしっかりしている?

学べる内容だけではなく、国家試験の合格率や就職の実績を見極めることも重要です。学校の実力を測るには、単年での結果ではなく複数年にわたる結果や実績をみておくことをお勧めします。また、その裏付けとなるサポート体制がどのようになっているのかもチェックしておきましょう。

サポートのポイント

「国家試験対策をどのくらい力を入れて行っているのか」
「どのような就職支援を行っているのか」
「学修指導・支援体制がどのようなものになっているのか」 など

POINT 06

キャンパスの利便性は大事?

医療分野は勉強がハードなので、交通アクセスをチェックすることも大切です。公共交通機関の便がよいかも大切ですが、「駅からキャンパスまでの距離」や「キャンパス周辺の環境が学修に相応しい」かも見ておくといいでしょう。
また、大学は卒業後も図書館の利用や教員への相談・質問などで生涯にわたり活用するところです。特に医療分野の進歩は日進月歩です。就職してからも知識や技術を磨いていくための勉強は必須であるため、利便性は重要なポイントです。

POINT 07

医療分野では「理系」「文系」どちらも大切?

医療者になるためには、身体の構造や機能、基礎医学、さらには医療の専門科目を学ぶ必要があり、「生物学」、「化学」などの理系科目が欠かせません。一方で医療者は人と接する仕事であるため、コミュニケーション力も重要です。その基本となるのは論理的な思考の源泉となる「国語力」、そして社会全般に対する「教養」です。つまり医療者になるには、理系と文系をバランスよく学ぶことが重要なのです。実際、医療分野の学校へ進学している学生の中には、文系出身の学生も数多くいます。入学試験においても、医療資格によっては文系科目だけで受験できたり、文・理を選択して受験できる学校もあります。自分にあった入試制度で受験校を決めるのも一つの方法と言えます。

理系科目が苦手な人をサポート!
[リメディアル教育]

高校時代に理系科目が苦手だった学生に対して、リメディアル教育(高校での理系科目の復習)を行っている学校もあります。1年次の最初に生物学や物理学など基礎的な知識を修得し、専門的な学びへの移行をフォローすることが目的となっています。

POINT 08

進学費用はどれくらい? 奨学金はどのようなものがある?

看護・医療系の学校は一般的な専門学校や大学よりも学費が高いと言われています。大学と専門学校でも学費は異なりますが、同じ大学であっても、国公立大学と私立大学で異なります。そんな学費の悩みを解決するのが奨学金制度です。
奨学金制度には、日本学生支援機構や地方公共団体、民間団体など以外に各病院の奨学金、学校独自の奨学金などがあります。
特に「学校独自の奨学金」は給付型の奨学金が多いことが特徴です。入試の成績あるいは入学後の学業成績の優秀者が対象にされており、別名「特待生」とも呼ばれています。
また、「学生支援機構の奨学金制度」は、大学入学時に申し込みが可能な「予約採用」がありますので、入学前に奨学金貸与を取得することをお勧めします。貸与の種類としては、1種(無利子)と2種(有利子)があります。

学校選びのポイントがわかったら、実際に大学での学びを見てみよう!